G蛋白共役型受容体GPCRとゲノム創薬
新規受容体特異的薬物の開発と臨床応用を目指す。受容体機能に関するこれまでのアプローチでは薬物の親和性や共役するG蛋白質の種類の違いばかりが強調されていたが、受容体蛋白の局在が細胞情報認識上重要な因子であることが認識されてきた。当教室では受容体の細胞内動態?特に局在、輸送などについての分子機構に関する研究に注目し、受容体分子の細胞内移行に着目したスクリーニングシステムの開発を行っている(図1)。この手法により、新規受容体GPR120の天然リガンドとして脂肪酸を同定した。さらに、GPR120が腸内分泌細胞に存在し食事性の脂肪酸刺激によりGLP-1等のペプチドホルモンの分泌を促進することで、これを介してinsulin分泌、食欲の制御を行うことを示した。この結果は、GPR120が肥満、糖尿病、摂食異常等の疾患に対して効果的な予防と治療の標的であることを示すとともに、当研究室のアプローチが、創薬標的分子の迅速な同定と解析に有効であることを示している。(図2)
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図1 受容体の細胞内移行を用いたスクリーニングシステム |
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図2 新しいスクリーニングシステムによるGPR120受容体の発見 |
マイクロアレイとゲノム創薬
マイクロアレイ(DNAチップ、図3)は種々の病態に特異的な遺伝子発現パターン(プロファイル)を同定することで医薬品開発のターゲットを迅速に発見することが期待される。当教室では遺伝子発現プロファイル・データベースの構築と、遺伝子情報が未だ充実していない動物モデルの各臓器別標準ライブラリーcDNAマイクロアレイを作製し、疾患動物モデル動物における病態遺伝子発現の解析を行っている。また、京都大学附属病院臨床診療科との共同研究により癌における遺伝子発現解析についての研究を行っている。
図3 マイクロアレイ |