21世紀COEプログラム・ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成

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 ケモゲノミクス [ English | Japanese ]
藤井 信孝
富岡 清
竹本 佳司
上杉 志成
環境ゲノミクス 薬理ゲノミクス
富岡 清
京都大学 大学院
薬学研究科創薬科学専攻
教授

富岡  清

    生物情報活性アミン類を指向する立体選択的不斉合成方法論の開拓

     分子と分子の動的な相互作用の結果が情報機能であり、その合理的ネットワーク集積として生命の発生、分化、恒常性が保証されている。本研究では、化学結合形成反応の初期過程が分子による分子の認識であると捉え、分子化学種の活性化と化学選択性の獲得を可能とする配位性キラル分子の開発を目的とし、動的分子認識の現実化として不斉合成と化学選択的な結合形成反応の確立に挑戦している。特に、含窒素生物情報活性分子の超高効率の全合成に展開している。
      1.リチウムアミドの不斉共役付加によるβアミノ酸類の不斉合成法
      アミン性窒素基を求核反応剤とする不斉合成は、キラル触媒による方法が最も望ましい 。トリメチルシリル基を持つベンジルアミンから発生するリチウムアミドは、キラル配位子との錯体化により不斉反応剤化され、種々の不飽和カルボニル化合物に不斉共役付加する。立体選択性も高く98%eeに達する。当量以下のキラル配位子によっても比較的高い不斉選択性が発現した。

      図1


      2.ニトロオレフィンへの不斉共役付加による含窒素化合物の不斉合成法
      ジヒドロキシジンに代表される含窒素芳香族化合物はドーパミン D1のフルアゴニストとして位置づけられる。ニトロオレフィンに対するフェニルリチウム類の不斉共役付加反応はキラル配位子によりほとんど完璧に制御され、97%に達する不斉収率で付加生成物を与えた。ニトロ基をアミンに還元できるので含窒素複素環化合物の一般的な不斉合成法の誕生である。

      図2


      3.イミンへの不斉アルキル化反応によるアミン類の不斉合成
      キラルホスファンは Rh(I)と錯形成してアリールボロン酸のイミンへの触媒付加を不斉制御して94% eeに達する付加生成物を与える。
      図3

    発表
    1. H. Doi, T. Sakai, et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 2886.
    2. M. Yamashita, K. Yamada, et al. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 1954.
    3. M. Kuriyama, T. Soeta, et al. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 8128.

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