21世紀COEプログラム・ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成

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 ケモゲノミクス [ English | Japanese ]
藤井 信孝
富岡 清
竹本 佳司
上杉 志成
環境ゲノミクス 薬理ゲノミクス
上杉 志成
京都大学 化学研究所
生体機能化学研究系
教授

上杉 志成

    小分子化合物を起爆剤とした生物学的研究

     人間の歴史の中で、生理活性小分子化合物は人間の疾病を治癒し、生命現象を解く鍵となり、医学、生物学の進歩に貢献してきた。ちっぽけな有機化合物が生命の仕掛けを明らかにする、人間が工場の釜で石油から作った化合物が人間の命を救う──考えてみると驚くべきことだ。私たちの研究室では、ユニークな生理活性を持った小分子化合物を発見し、道具として利用することで、生命現象を探究してきた。今後も、遺伝子発現、細胞分化、遺伝子組み換えなどを変調する有機化合物を見つけ出して、生物学のいろいろな局面での応用を試みる。生物の仕組みは非常に複雑だが、有機化合物を起爆剤として用いることで、新たな切り口で生物を研究することができる。有機化合物の化学を出発点として生物学の研究に帰着するこのような研究は、ケミカルバイオロジーやケミカルジェネティクスと呼ばれる。私たちの研究は全くの基礎研究だが、将来の創薬にも新しいアイデアを与えることができればと願う。


    ケミカルゲノミクス

     ケミカルゲノミクスはケミカルジェネティクスを網羅的にした学問。個別の研究室では実行が困難だが、COE内外の多くの研究室との連携や国家プロジェクトによって、ユニークな生理活性を持った有機化合物がゲノムワイドに発掘され、有機化合物を起爆剤とした生物や疾病の網羅的研究が可能になると期待する。私たちの研究室では、そのような連携へ向けた基盤技術研究に従事している。ケミカルゲノミクスそのものは創薬ではないが、その化合物を基盤とする基礎研究で培われた知識と技術は、創薬に応用することができる。ケミカルゲノミクスは創薬を加速する「触媒」となるだろう。

    ケミカルゲノミクス

|平成18年度|平成17年度