21世紀COEプログラム・ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成

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 環境ゲノミクス [ English | Japanese ]
金久 實
阿久津 達也
馬見塚 拓
加藤 博章
梅田 真郷
ケモゲノミクス 薬理ゲノミクス
加藤 博章
京都大学 大学院
薬学研究科創薬科学専攻
教授
加藤 博章
    生物時計の構造生物学

     構造生物学は、生命現象の仕組みをその担い手であるタンパク質など生体分子の立体構造に基づいて明らかにする学問である。我々は、構造生物学の研究手法の高度化を進めると同時に、創薬のカギとなる生理学的に重要なタンパク質の機能を立体構造に基づいて理解することを目指している。特に、SPring-8の放射光X線の特徴を活かし、膜タンパク質など結晶化の困難なものの立体構造研究や、1Åをはるかに凌ぐ超高分解能X線結晶解析法の確立を行っている。また、立体構造決定に留まらず、分子生物学から物理化学に至るいろいろな手法を駆使して、構造を基にした機能を解明するための研究を展開している。
     生物時計はほとんどの生物に存在し、生命活動を24時間周期で制御している。地球上に最初に現れた光合成生物であるシアノバクテリアにおいては時計遺伝子クラスターkaiABCが生物時計本体の遺伝子であり、時計タンパク質KaiAはkaiBCオペロンの発現を促進し、時計タンパク質 KaiCはその発現を抑制することが知られている。しかしながら時計タンパク質がどのような分子機構で時計を発振させ、周期を24時間に調節しているのか、未だ明らかにはなっていない。我々は、KaiAタンパク質が時計の発振を司る“時計発振ドメイン”であることを解明するとともに、X線結晶解析を用いてその三次元構造を決定した。さらに時計発振ドメインはKaiAの2量体化、KaiCとの結合およびKaiCリン酸化の促進に必須であること、2量体構造中央の凹面最深部に存在するHis270がKaiCとの結合およびKaiCのリン酸化促進に重要であり、時計発振を行うために必須の残基であることを初めて突き止めた。(Uzumaki et al., Nat. Struc. Mol. Biol., 11 , 623-631 (2004))。

    生物時計

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