ゲノム情報科学研究教育機構  アブストラクト
Date May 12, 2003
Speaker 望月 敦史(基礎生物学研究所)
Title 遺伝子の発現切り替えがもたらすネットワークの一般的性質
Abstract  複数遺伝子のタンパク質濃度に応じて、各遺伝子が発現スイッチを切り替えるような遺伝子ネットワークを扱う常微分方程式モデルを考え、解析した。N個の遺伝子からなる系の場合、各タンパク質濃度の高低によって2-7通りの状態が考えられるが、それぞれの状態に対して各遺伝子が発現レベルを切り替えできるとした。このモデルは自由度が大きく、初期値やパラメータ値によって振る舞いが大きく変化する。私は、系が遷移しうる実際の状態が限られることに注目し、平衡状態の解析を行った。平衡状態はパラメータ依存性などによって、複数のタイプに分けられ、その幾つかについてネットワーク構造から存在や値の変化が予測できた。ランダムに構成されたネットワークについて、代表的なタイプの平衡状態数の期待値を計算できた。平衡状態の数は、系に含まれる遺伝子数Nを増やしてもほとんど変化せず、むしろ1遺伝子が相互作用する遺伝子の数Kに強く依存すると分かった。
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