ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成16年度)
ボストン大学 橋本 浩介
 私は2004年6月から約3ヶ月の間、ボストンに滞在する機会に恵まれました。滞在の初めと終わりの期間を除けば、夏休みで学生が減っていたこともありボストンの街は比較的静かでした。8月にも気温はそれほど上がらず非常に過ごしやすい土地だと感じられました。その一方で、日常生活上の様々な場面で、日本人としての感覚しかもたない私は、日本との違いにとまどいと奇妙さ、そして面白さを感じずにはいられませんでした。それは例えば、家の中で靴を履く、といった既に知らされていた事柄であっても、実際その状態になってみると、しばらくの間は何か変な感じがつきまとったということがあります。

 このような大小様々な違いの中でも、言葉の違いというものは格別でした。1日の生活の中で、相手が何を言っているのかわからない、ということが幾度もあり、それは滞在期間中なくなることがありませんでした。加えて、伝えたいと思った内容を相手に完全に説明できたこともほとんどなかったように思います。しかしこの苦汁が英語学習の強い動機付けとなり、日本に帰ってからもそれは失われていません。日本で暮らしていると英語を勉強せざるを得ない状況に追い込まれるということはなかなかないので、これは得がたい貴重な経験になったと思います。

 研究の面では、運良く日本で行っていることと多少関係のあることをさせてもらうことができました。私の通っていた研究室にはアジアや南米など世界各地から留学生が来ており、人種の混在したアメリカというイメージそのままでした。昼休憩には幾人かが集まってそれぞれの国の習慣や文化の話をしながら食事をすることがよくありました。ちょうどアテネオリンピックが開催されていたこともあって、皆それぞれ自分の国の誰々が金メダルを取ったとか、自分の国がいかに素晴らしいかを主張していました。もちろん私も可能な限り日本の良いところを主張しておきました。その他に、アメリカという国に対する不満もよく話されており、外国人に対する補助やビザの問題、物価などについて激しい批判が聞かれたことが印象的でした。

 全期間を通じて、毎日が非常に楽しく刺激的であり、後に残るものも大きかったように思います。もし再び外国に滞在する機会があればぜひ行きたいと思っていますし、そのような機会に恵まれた方はぜひ行ってほしいと思います。

 最後に、この貴重な機会と経験を与えてくださった金久實教授と、ボストンで会ったすべての人々に感謝致します。

  チャールズリバーの支流でゴンドラを漕ぐ人。
留学中は日本での生活と比べ、様々な違いにとまどう反面、心が和むゆったりとした風景に出会うこともできた。