ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成17年度)
ボストン大学 本多 渉
 バイオインフォマティクス人材養成プログラムの一環として、昨年のベルリンに引き続き、今年度はアメリカのボストン大学へ三ヶ月留学させていただきました。ボストンはアメリカの中でも古い町とはいえヨーロッパと比較すれば非常に新しく、リベラルな雰囲気の中多数の有名な大学があり、世界中からの研究者を集めてきている都市です。ヨーロッパの研究環境との違いも分かり、とても実り多い留学になりました。

 私はバイオインフォマティクス分野の中心的な研究室に所属しました。そこではもとから生物学を専攻していた人はほぼいないにも関わらず、研究テーマは興味深いものが多くて大変勉強になりました。週一度のミーティングはリラックスしたムードで、教授宅で寿司を囲んでビールを飲みながら開かれたこともありました。しかしながらNative speakerの英語を聞くには集中力が常に要求されるので、鬼気迫る顔をして皆の冗談を理解しようとしていた私は堅苦しい印象を与えていたかもしれません。

 ボストン大学以外にもハーバード大学や MIT が近所にあり、所属に関係なく参加できるセミナーが開催されていて、交流も盛んなようでした。ハーバード・MIT共同研究施設であるBroad Instituteのセミナー(写真)では、雰囲気はアットホームではあるものの、日本では考えられないくらいに激しい議論が交わされていて、自分の研究だけではなく、周りの人の研究対象にも積極的に問いを立てる姿勢に感服しました。またボストンに長期留学している他の日本人の方々からも、目標に対する情熱をひしひしと感じました。とても良い刺激になるとともに、自分の意識の低さに対する猛省を促されました。

 アメリカ人の細部に拘らない気質は最初若干の抵抗を感じましたが、帰国前には爽快に思えていました。日々の生活において、住宅事情や食事の問題も根本的な解決はできなかったものの、自分に合った選択肢が必ず用意されていることに救われました。長く住むほどに魅力的に感じる町ではないでしょうか。最も貴重なのは、アメリカの長所と短所を実地に経験できたことだと思います。多くの出会いがあったことも、良い思い出です。

 最後に、在米中に指導していただいたZ. Huさん、C. DeLisi教授、そして今回の大変貴重な機会を与えて下さった金久實教授に心から感謝致します。

Broad Instituteのセミナーの様子   Broad Instituteのセミナーの様子