ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成17年度)
ボストン大学 武藤 愛
 私は2005年の夏、バイオインフォマティクス人材養成プログラムの交換留学生として、ボストン大学のプログラムに3ヶ月の間参加させて頂きました。

 ボストンはアメリカの中でも歴史ある街で、古い街並みの美しいところでした。京都市と姉妹都市だということでしたが、歴史的建造物が多く観光地であるところや、大学が多く学生の街であるところなど多くの点で京都と類似点が見られました。習慣の違いに戸惑うことはありましたが、不自由を感じることはほとんど無く、治安も良かったため非常に住みやすいところだと感じました。

 ボストン大学ではDeLisi研究室でお世話になりました。DeLisi研究室には10名ほどの学生と2匹の犬がいました。もちろん2匹ともよく躾けられていましたが、研究室に犬を連れてくることが許されるということにまず驚かされました。研究室の皆さんにはとても良くしていただきましたが、特に女学生の皆さんとは女性同士で親交を深めることができました。

 Delisi研究室では、週に一度、研究室のメンバーが揃ってミーティングが行なわれました。ミーティングでは、教授もスタッフも学生も非常にフランクに議論を交わしており、知識を共有し、様々な意見に耳を傾けることを楽しんでいる風でした。また、ボストン大学や他の大学で開かれているセミナーにも参加する機会がありましたが、そこで最も驚き感心させられたのは、セミナーに対する参加者の姿勢でした。発表の最中にも方々から質問やコメントが飛び、議論が始まって発表が中断することも何度もありました。制限時間などは元々設定されていないようで、心ゆくまでディスカッションを深め、貪欲に研究や知識の獲得に努める姿勢には、圧倒されるほどでした。

 研究に対する態度で特に見習わなければならないと感じた点は、彼らの研究に関するコミュニケーションの多さです。学生同士でも、研究室の中でも外でも、雑談の中からすぐにディスカッションが始まります。学生が集まるバーなどでも、研究室の枠に留まらず、他の研究室のメンバーも参加して激しいディスカッションを交わしていました。

 ディスカッションは研究生活の醍醐味であるだけに、英語コミュニケーション力の不足をこれほど悔やんだことはかつてありませんでした。彼らは自分の研究についてアピールすることや、自分の意見を人に伝えることがとても上手です。それは彼らが常にこういった場でコミュニケーションの経験を積んできたからなのだと強く感じさせられました。私も自分の研究について話す機会がありましたが、会話力の不足から自分の意見をうまく伝えることができず、非常にもどかしい思いをしました。それでも相手の方が理解しようと努めてくれて、"Interesting" と言って貰えた時はすごく嬉しかったです。

 海外に3ヶ月も滞在したのは初めての経験でしたが、見るもの全てが興味深く、非常に充実した日々を過ごすことができました。これから科学研究に携わっていく者として、今回の経験で非常に大きな糧を得ることができたと感じています。

 最後に、このような機会を与えて下さった金久實教授、ボストンで指導して頂きましたCharles DeLisi教授とDeLisi研究室の皆様に深く感謝致します。

ボストン大学の中庭の様子   ボストン大学の中庭。
天気のいい日には、芝生の上でくつろぎながら勉強している学生が多く見られた。