ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成17年度)
ベルリン
マックスプランク研究所
坂井 比呂樹
 私はゲノム情報科学研究教育機構プログラムの一環として、2005年8月から11月までの三ヶ月間ドイツ、ベルリンのマックスプランク研究所に留学させて頂きました。

 本来、例年のようにフンボルト大学への留学のはずだったのですが、フンボルト大学のハインリッヒ先生の提案によりマックスプランク研究所で勉強する事になりました。
 マックスプランク研究所はドイツを代表する研究機関で、物理、電子工学、天文学、生物学、医学など様々な分野の研究を、80以上の研究機関で行っています。海外の研究所は日本とはかなり違うとは聞いていましたが、今回の留学でその一面を実感する事ができました。

 まず、人材という面では、非常に多くの国の人が在籍しているということがあります。これは日本以外の国にはいえる事なのかもしれませんが、ヨーロッパのみならず、アメリカ、南米、アジア各国など、世界各国から研究者の方が集まっている環境では、自然と話の幅も広がり、研究のみならず、自分の興味の幅まで広がるように感じました。

 次に、研究生活面では、「生活を楽しむ」という事への意識の高さがあると思います。私が留学した頃は8月でまだ暖かく、サマーパーティーが開かれていました。パーティーというと午後に仕事が終わった後というイメージでしたが、全くそうではなく、平日朝10時からビールサーバーを積んだトラックが研究所の庭にやってきて、昼間から青空の下でビールやワインを飲みます。ドイツ特有のソーセージや、豚ステーキの屋台もあり、宴会をしている人たちもいれば、バドミントンやバレーボールをしている人もいます。

 研究は研究だが、楽しめるときは思いっきり楽しむという意識が感じられ、みんなそれぞれの楽しみ方をしているところがとても印象的でした。

 最後に研究への取り組み方では、「ディスカッション」が印象的でした。食堂でも廊下でも各部屋でもそうですが、どこでも誰かが必ず声を張り上げてディスカッションをしています。その頻度、つまり「量」もさることながら、実際自分もディスカッションをするようになると、その「質」についても高さを感じました。とにかくお互いに理解し、その上で新たなアイディアを生み出すという事に意識が注がれ、その目的達成のためには言葉の壁などはたいした問題ではないという意識さえ感じられました。

 その他、研究以外にも、ベルリンの学生たちとの交流や日常生活など、非常に多くの貴重で意味のある経験をすることができました。この経験は今後の私の人生にも大きな影響を及ぼす事と思います。

 最後になりますが、留学という機会を与えてくださった金久教授、またベルリンでお世話になった、フンボルト大学の、ハインリッヒ教授とその研究室の方々、マックスプランク研究所のヴィングロン教授と研究所の方々に深く感謝いたします。

ベルリンでの昼食   ベルリンでの昼食。
冬になるとほとんど太陽が出なくなる北欧では、 オープンカフェが多く、多くの人が好んで青空の下で食事をとる。