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ケモゲノミクス
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京都大学 大学院
薬学研究科創薬科学専攻
教授
藤井 信孝
ケミカルプロテオミクスを基盤にしたゲノム情報収斂型創薬化学
本プロジェクトでは“ゲノム科学とケミストリーの融合”を計り、ゲノム情報を集約して見いだされる創薬標的に対してケモゲノミクス(ケミカルバイオロジー)を基盤にした創薬化学研究・教育の拠点形成を目指している。
具体的にはケミカルプロテオミクスに立脚した創薬基盤の革新という一つの座標軸を設定し、 その実践として、本年度は
(1)I-型膜融合機構を利用するHIV-1に対して独自に開発したXEEXXKKコンセプトを活用して強力且つ特異的な活性を有する多剤耐性克服型膜融合阻害剤T20EKを開発し、さらに同様な戦略を用いて猫エイズの病因ウイルスであるFeline Immunodeficiency Virus(FIV)およびSARS-CoVに対して細胞レベルで抗ウイルス活性を有するFIVC35EK、SR9EK13をそれぞれ開発した。一方SARS-CoV膜融合阻害剤の研究を通じて直接間接経路のみならずエンドサイトシスを介する間接的感染経路の防御の重要性を再認識し、今後の鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、成人T-cell白血病等の他の新興・再興ウイルス性感染症に対する膜融合阻害剤開発研究に対する有用な基礎的知見を得た(図1)。
図1 Type 1-膜融合機構を用いる新興・再興ウイルス性感染化学療法剤に対する創薬基本戦略
(2)アルケン型イソスターおよびフルオロアルケン型イソスターの(Z/E)選択的精密合成手法を開発し、ペプチドトランスポーター、PETP 1の基質認識特性を明らかにするとともに、フルオロアルケン型イソスターのバイオイソスターとしての特性を厳密に精査することの必要性を明らかにした(図2)。
図2 (E/Z)選択的アルケン型ペプチドイソスター合成法の開発とペプチドトランスポーター(PEPT 1)の基質認識特性の解析
(3)当該研究拠点で世界に先駆けて見い出したCXCR4-ケモカイン受容体のペプチド性拮抗剤をリードとして特異な二価亜鉛錯体構造を有する非ペプチド性拮抗剤の創出に成功した(図3)。また一連のCXCR4拮抗剤をケミカルプローブとしてCXCR4と生体内生理および病理との関連を精査した。
図3 二核亜鉛錯体構造を有するCXCR4拮抗剤(BIP)の創出
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