ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成16年度)
フンボルト大学 本多 渉
 バイオインフォマティクス国際交流プログラムの一環としてベルリンのフンボルト大学に三ヶ月留学させていただきました。かつて森鴎外も留学していたフンボルト大学は歴史も古く、輩出した著名な学者も数え切れない程です。またベルリンはヨーロッパの中でも特に発展している国際都市であるので、この機会を最大限に活用し勉学はもちろん、異なる文化圏の人々の生活を肌で理解することを追求しました。

 私の所属したラボは全員がドイツ人でしたが、それぞれが異なるバックグラウンドを持ち研究以外の文化的なディスカッションをも流暢な英語で活発にする姿は、学問のみならず音楽を始めとする芸術の分野でも高い水準を達成した国であることを再認識するのに充分過ぎるほどでした。彼らの母国語であるドイツ語が与える厳しい印象とは裏腹に、ユーモアとリラックスを大事にしていることも目の当たりにし、「お堅い」「ジョークを言わない」といったドイツ人に対する誤解はまもなく払拭されました。研究においては生物以外にも数学や物理等に関する背景知識が豊富である優秀な人ばかりで、全てが勉強になりました。

 日常生活に関しては、毎日大量に消費されるソーセージとビールには感激しても、いたるところで見られる激安トルコ料理の屋台等はものすごいボリュームなので馴染むには時間がかかるかもしれません。正確な運行時間の交通機関を利用し、何でも揃う百貨店を眺めていると、日本にいるかのような錯覚を覚えるばかりか残酷なベルリンの壁の存在すら忘れてしまいそうになります。ドイツに限って言えば日本人にとって生活しやすい環境が調っているのではないでしょうか。

 異なる言語を用いての生活と研究には語学の勉強不足を感じることは度々ありましたが、むしろ言葉が通じない場合程とても親切な対応をしてくださる方が殆どで、大学内は当然ですが至る所で多くの人に助けていただき感動することがしばしばでした。有難かったのはもちろんですが海外から日本へ来ている人に対しても自分にできることをしてあげて恩返しができることを楽しみにしています。この留学で知り合った色々な国の友人達は生涯の財産です。

 最後に、在独中に指導していただいた S.Bulik さん、 H.G.Holzhütter 教授、そして今回の大変貴重な機会を与えて下さった金久實教授に心から感謝致します。

  名だたる学者を数多く輩出した、荘厳な雰囲気の漂うフンボルト大学の前で。