ゲノム情報科学研究教育機構
  留学体験記(平成16年度)
フンボルト大学 成相 直樹
 バイオインフォマティクス交換留学プログラムにおける東京からの第一号として、三ヶ月間、フンボルト大学の Reinhart Heinrich 先生の下で勉強させていただきました。京都大学から来られた二人の日本人との共同生活でしたが、異国の地での長期滞在は人生初の経験で最初から最後まで文化の違いに戸惑ったり驚いたりの連続でした。しかしながら現地で先生や学生さん方が手厚く面倒を見てくださったおかげで研究生活、ヨーロッパ生活共に非常に有意義な時間を過ごすことができました。

 特にドイツで日本と違ったところは、日常生活における時間の流れ方です。東京における多くの(私の知り合いが所属している)研究室とは異なり、平日でも夕方5時頃には多くの学生が帰宅してしまい研究室は寂しくなります。彼らの言うところによれば早めに帰宅して家族を大事にして、自分の時間を持って、リラックスするのが良い研究生活の秘訣ということです。朝は日本人よりも早い感じなので実質の研究時間はあまり変わらないかもしれませんが。。土日は概ね研究室は閉店、さらに日曜日はほとんどのお店、ショッピングセンターも閉まります。公園でサッカーをしたり、湖へ出かけてウィンドサーフィンをしたり、古びたカフェでのんびりビールを飲みながら一日中語らったりするのがベルリン子の休日の過ごし方の様です。レストランでもなかなか注文を聞きに来ない、食べ終わっても勘定を取りに来ない、そういう訳でどうしてものんびりとした日々を送ることになります。日本とは違った、ヨーロッパ文化の懐の深さを感じました。

 ドイツ語は留学前に少し勉強していたものの全く使い物にならず、日常会話や研究室におけるディスカッションは全て英語、ということになりました。私が感じたのは、彼らはとてもディスカッションを重要視するということです。だいたい三日に一度くらいのペースでミーティングを行い、得られた結果について各々の意見をぶつけ合います。たとえ先生の意見と違う意見を持っていても、学生たちは自分の意見を堂々と主張します。自分のオリジナルなアイデアというものを重視し、なぜそう考えるかというところを詳しく全員に説明します。説明する過程で自分の考えが間違っていることが分かる、また他人の意見から新しいアイデアが浮かんでくる、そういったことが多々あったことを思い出します。自分の意見をしっかりと持ち、それを英語でしっかりと主張できる、ということが共同研究の上で特に重要であると思いました。

 交換留学に関しましてドイツの先生方、日本の関係者の方々、アパートでの共同生活で色々助けてくださった田中さん、本多さん、そして私をサポートしてくださった多くの人々に心より感謝いたします。ありがとうございました。
  下宿していたアパート。玄関は馬車が通れるほど大きく、部屋は最上階で、のんびりとしたベルリンの街が一望できたのが印象的だった。