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京都大学 大学院
薬学研究科生命薬科学専攻
教授
川嵜 敏祐 |
生体防御因子としての動物レクチンMBPによる糖鎖認識様式
ポストゲノム時代のライフサイエンスにおいては、生体機能分子としてのタンパク質や糖質、脂質の構造や機能の研究が飛躍的に発展するものと期待されている。これら生体成分の相互作用の解明、in vitro、細胞、組織、個体、集団といった様々なレベルを通しての統一的な機能の理解が大切である。当研究グループでは、糖鎖領域における糖鎖システム生物学の重要性を認識し、その研究拠点形成を目指している。今回は、生体防御因子としての動物レクチンMBPによる糖鎖認識様式を中心として以下の成果を報告する。
1. 内在性糖鎖リガンドの構造よりみた MBPの糖鎖認識様式:ヒト結腸がん細胞SW1116より単離したMBPリガンド糖鎖の構造を質量分析装置により解析し、これらがルイスa血液型物質(3糖より成る)の繰り返し構造よりなる新しいがん関連糖鎖抗原であることを明らかにした(下図)。
2. 合成高分子糖鎖を用いた MBPの補体活性化機構の研究:様々な長さをもつ合成糖鎖リガンドによる補体活性化作用を解析した結果、MBPによる補体系の活性化にはMBP分子にアロステリックな構造変化が含まれることを明らかにした。
3. メダカ糖鎖関連遺伝子の網羅的ノックダウンによる糖鎖機能の解明:ヒト遺伝子情報をもとに、メダカ糖鎖関連遺伝子を抽出し、これを順次ノックダウンする。すでに、約20種類の遺伝子のノックダウンを行い興味ある結果を得ている。
4. 糖鎖エピトープデータベースの作成:糖鎖を特異的に認識する抗体に関する情報は、国内外の様々な文献に分散している。そこで、これらを一つのデータベースとしてまとめ、web上に公開した(http://www.glyco.is.ritsumei.ac.jp/epitope/)。
発表
1. S. Kakuta et al., J. Biol. Chem., 279, 22693-22703 (2004)
2. M. Terada et al., J. Biol. Chem., in press (2005)
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