Kyoto University 21st Century COE Program Genome Science 21世紀COEプログラム「ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成」
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薬理ゲノミクス環境ゲノミクスケモゲノミクス
事業推進担当者
辻本 豪三
乾 賢一
金子 周司
五斗 進
乾 賢一
京都大学
医学部附属病院薬剤部
教授

乾  賢一

医薬品の体内動態と薬効・毒性に関する基礎と臨床

 本テーマでは、腎臓、肝臓、小腸などを中心として薬物トランスポータの分子レベルでの解析から臨床データの応用に至るまで、系統的な薬物動態研究を展開している。
 免疫抑制剤タクロリムスの個別化免疫抑制療法を確立するため、小腸においてタクロリムスの吸収障壁として機能している P-糖タンパク質/MDR1(ABCB1)及びCYP3A4の発現量とタクロリムス血中濃度/投与量比(C/D)との比較解析を行った。その結果、生体肝移植時における小腸MDR1発現量は、術直後のタクロリムス投与設計のための有用なバイオマーカーになることを見出した。これらの情報は、現在生体肝移植後のタクロリムスの初期投与量設計に利用されている。
 腎臓における糸球体濾過能の指標として血清クレアチニン値が広く用いられるが、腎機能の評価法として不十分なことが従来より指摘されていた。我々は、腎生検組織の余剰分を用いて、薬物トランスポータ遺伝子の含量を測定し、薬物動態の個人差の原因究明を図っている。特に、腎生検採取後に感染予防のために投与される抗生物質セファゾリンの尿中への排泄速度は、有機アニオントランスポータOAT3(SLC22A8)の発現量と良好な相関関係を示すことを見出した。このように、薬物トランスポータ群の発現量は、新たな腎機能評価のためのマーカーとして有望視されている。

 我々の研究室では 、1)薬物トランスポータの分子・細胞生物学的解析と臨床応用に関する研究、2)病態時における薬物動態の変動因子の解析と投与設計に関する研究、3)医薬品の副作用・毒性に関する研究、4)医薬品の相互作用と適正使用に関する研究、5)テーラーメイド医療とpharmacogenomicsに関する研究に取り組んでいる。

薬物トランスポータ研究

参考
京大病院薬剤部 ホームページ(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/main.htm